ヤマゴリです!
自粛要請が収まり、少しづつですが日常を取り戻しつつある今。
僕の住む田舎でも出歩く人が増え始めている感じです。
飲食店もオープンし始めましたし、人が集まる機会も少しづつ増えていくのではないでしょうか。
ただ、ここで油断して新たな感染を起こしてしまっては、これまでの努力が無駄になってしまいます。
日常を戻しながらも、最大限の警戒の意識をもってこの状況に耐えなければいけませんね!
今日はキングスとゲレンデの違いについて紹介していきます。
スノーボードにおけるオフシーズンの練習の定番と言えば、キングス ですね!
キングスといえば、人工芝(ブラシ)の上を滑り、ジャンプ台からマットへと飛び込む キッカーの練習施設 です。
同様のマットジャンプ施設には クエスト も含まれます。
また、プールに着水する ウォータージャンプ もあります。
夏の内にキングスで練習を積み、シーズンと同時に華麗にエアーを決める・・・
オフシーズンにも研鑽を重ねるライダーも多いと思います。
今日は、そんなキングスでの滑りが、実際のゲレンデとどう違うのかに迫ってみたいと思います!
まずはキングスの構造について改めて紹介したいと思います。
キングスは 夏でもキッカーの練習が出来る施設 です。
人工芝(ブラシ)で作られたキッカーが準備されており、ここを滑走し最終的には マット に着地します。
ブラシは特殊なナイロンを素材としており、水で濡らすことにより雪面に近い感覚で滑ることが可能です。
(僅かですがエッジもかけることができます)
ライダーはブラシでできたアプローチを滑り、リップを超えてジャンプします。
本来ランディングがあるべき所にはマットが敷いてあり、ここに着地する形でフィニッシュです。
マットに着地することで、怪我のリスクを極限まで低くすることができ、初心者でも 安全に練習が可能 です。
また、実際のキッカーでは練習の難しい大技にも挑戦できるため、プロ選手の多くも夏場はキングスで練習を行っています。
怪我のリスクは少ないと言っても最低限の対策は必要であり、多くの施設で、ヘルメット・グローブ・プロテクター の着用が 必須 になっています。
キングスとゲレンデの大きな違いの一つが、エッジグリップ力 です。
そもそもベースが ブラシ と 雪 なので違うのは当然ですが、ブラシは エッジがほとんど効きません。
エッジを強くかけすぎると すっぽ抜けてしまいます。
そのため、キングスでは エッジに頼らない滑りを心掛ける 必要があります。
そもそもキッカーにおいて、エッジに頼って滑るのは好ましくない と言えます。
これは、アプローチ・抜け 共に言えることです。
アプローチでの急なエッジングはバランスを崩すことに繋がり、スピードも殺してしまいます。
抜けの際のエッジングは体重が傾きすぎている状態(または “くの字” に折れている状態)で、空中姿勢が崩れてしまうこと繋がります。
飛距離の減少につながり、回しきれないという状況に陥りやすいばかりか、最悪フラットに着地と言う結果を招いてしまします。
キッカーではグラトリのようにエッジングでスピードを回転に変換するという動きはなく、抜けの角度と先行動作 をもって回転するのが基本です。
キングスで エッジに頼らない滑り を練習することは、ゲレンデでも正しい形でキッカーを飛べる ということに繋がります。
キングスの特徴の一つが、コンディションによる影響が少ない ことです。
あっても、天候 と 風 くらいです。
【天候】
これは晴れている場合と、雨の場合があります。
ブラシは濡れている状態でより雪に近い感覚になる為、雨が降っている状態はむしろプラス と言えます。
【風】
キングスで一番影響を受けるのが風です。
まずはアプローチですが、当然 向かい風であればスピードは遅く なり、追い風であれば速く なります。
これは風の 強さ によっても変化しますので、しっかりと状況を確認しながらスピードを調整する必要があります。
これらにプラスして、実際のゲレンデでは影響を及ぼす要素は更に多くなります。
コンディションの変化が多く、滑りに大きな影響を与えます。
【気温】
実際のゲレンデでは気温の高低によって雪面が変化します。
気温が高いと雪が解けてシャバシャバになり、スピードはあまり出ません。
気温が低いとゲレンデが凍り、スピード出すぎてしまう 危険性があります。
【整備】
整備前と後でも大きく変化します。
整備前の荒れたアプローチでは バランスを崩しやすく安定しません が、整備されたアプローチでは しっかりと安定したライドが可能 です。
ランディングも同様で着地の安定性が左右されます。
【ランディングの位置・状態】
キングスでは着地がマットなので考える必要はありませんが、実際のキッカーでは 着地しなければなりません。
着地する場所がどうなっているかを確認することは 絶必 です。
ランディングの状態や、どの程度飛ばなければいけないかを飛ぶ前にチェックしておきましょう。
キッカーのアプローチ終点(呼び出し口)を リップ と呼びます。
リップの角度や硬さの違いによって、エアーの高さや姿勢は大きく左右されます。
キングスではリップの状態が変化することはなく、毎回同じ条件で空中に飛び出すことが可能 です。
また、リップの下地には木材などの固めの素材を使用しており、抜けの際に板が大きな反発を生み出しやすく、高めの空中姿勢をとりやすい とされています。
毎回安定した抜けができ、少ない力で大きなエアーを決めれる点はキングスのメリットの一つです。
これに比べて、ゲレンデのキッカーでは整備やコンディションによってリップの状態も変化します。
リップの良し悪しは空中姿勢に直接影響を及ぼすため、事前にしっかりとチェックする必要があります。
こまめに整備がされているパークであれば問題ありませんが、ほったらかしのキッカーなどは リップが大きく荒れている ことがあり、特に大きなキッカーになると非常に危険です。
必ず飛ぶ前に状況を確認 するようにしましょう。
ちなみに、リップを大きく分けると、大きくカーブを描き、上方に向かって伸びている形 を 『アップ系』
緩やかにカーブを描き、前方へ伸びている形 を『抜け系』と呼びます。
アップ系は大型キッカーに採用されており、抜け系は小型キッカーやボトムタイプ(下へ落ちるタイプ)のキッカーに採用されることが多いです。
ゲレンデではこれらのパターンが入り交じり、状況によっても変化する為、より難易度が上がる と言えます。
キングスとゲレンデのキッカーの大きな違いが 恐怖心 です。
キングスも最初は怖いかもしれませんが、練習を重ねているうちに恐怖心はなくなってきます。
これは、怪我をしないという 安心感 から来るもので
動きはどんどん積極的になり、トリックの成功率も上がります。
しかし、いったんゲレンデに出ると 恐怖心が蘇ります。
これは当然で、雪上はマットより怪我をするリスクが高い からです。
恐怖心は人間が持つ防衛本能によるものなので、これは正しい反応と言えます。
しかし、ゲレンデで恐怖心が出るとどうなるか・・・
結果は、トリックのメイク率が下がります。
恐怖心があるとほとんどのライダーは 後傾 になります。
後傾のままリップから抜けるとどうなるか・・・
・板がまくられて背中から着地する
・空中でバランスを崩してしまう
・リップ抜けでエッジが立ち、スピードが殺される
このように、トリックは失敗へと導かれてしまいます。
恐怖心 の大きさがトリックの成功率に大きく影響するのです。
ゲレンデでは一度の失敗でも怪我をしてしまうかもしれません。
実際のゲレンデに 慣れる ことも大切ですが、ゲレンデでも 間違いなくメイクできるという自信 がつくまでキングスで練習を重ねるという方法も大切です。
キングスとゲレンデでは 滑り心地が大きく異なります。
キングスではコンディションによる滑りへの影響がほとんどなく、毎回同じ条件で反復練習を行うことが可能 です。
キッカーの練習において、毎回同じ条件で練習が行えることは 上達への近道 です。
同じ条件で確実にメイクできるようになって初めて、ゲレンデでのコンディションに対応できると言えるでしょう。
その為にも、しっかりとキングスで滑り込むことは大切です。
しかし、最終目的をゲレンデのキッカーに定めるのであれば、コンディションに対応する能力は身に付ける必要があります。
シーズンインすればキングスに戻ることは難しいので、キングスで培った技術を活かして、まずは易しい小さめのキッカーから挑戦していきましょう。
慣れてきたら、少しずつ形状の違うものや大きめのキッカーに挑戦して、様々な状況に対応できる対応できる能力を育てていきましょう。
キングスで身に付けた動きは、正しいキッカーでの動き です。
ゲレンデで使える誤魔化しがキングスでは使えません。
基本的なスキルをキングスで身に付ければ、ゲレンデでできない訳がないのです。
いかがでしたか?
キングスはキッカーの練習施設として非常に優れています。
それは、毎回同じ条件で反復練習が出来るという点があります。
ここでしっかりと感覚を養うことが、実際のキッカーで生きてきます!
ゲレンデとの条件の差はありまうが、しっかりと練習を積んで正しいフォームをマスターできれば、きっとゲレンデでもエアーを決めることが出来るはずです!
是非、来シーズンに向けてキングスへ通ってみてはいかがでしょうか!